世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち マイケル・ルイス/著 備忘録

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

今年上半期で読んだ金融本で一番面白かったのが、「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」でした。

リーマンショックが起きる2年前にその崩壊を予知し、利益を得るためのポジションを取った投資家達がいました。
でも、その気づきは早すぎました。彼らが利益を得られるポジションを準備して、実際に利益を得るまでの2~3年、間違った方向に進み続ける価格、世間の評価、支払い続ける費用・・・、早すぎる気づきは、

・    投資チャンスを見つけること
・    実行すること
・    利益を得ること

この三つを最後まで実行するのがどれだけむずかしいかを教えてくれます。
以下は、私がメモした備忘録です。読む時間がない方に、少しでも役立てば幸いです、

・    テーブルにチップを載せるなら、カジノ側が現実に目覚めて賭け率を変えてしまう前、つまり、今しかない。

・    元の百基の塔は、同じ氾濫原に建っているのだから、ひとたび洪水が起これば、すべての塔の一階が等しく被害を受ける。ところが、格付けのたびごとにゴールドマン・サックスを始めとするウォール街の投資銀行からたっぷりと手数料を受け取る格付け機関は、なんと、新しい塔の八〇パーセントをトリプルAと認定したのだ。

・    金融市場は、狭い専門知識を持つ多数の人間に大盤振る舞いをする一方で、資本を複数の市場に配分するのに欠かせない広く包括的な視野を持つ少数の人間を冷遇していた。

・    実質的に同じオッズの賭けだとしたら、ダブルAの名を付された一片が下げるほうに賭ければ年〇・五パーセントの支払いですむのに、額面どおりのトリプルBの一片が下げるほうに賭けてわざわざ年ニパーセント支払う理由が、どこにあるだろう? 賭けの内容はどちらも、トリプルBのサブプライム・モーゲージ債が焦げつけば儲かるというものだが、その賭けに四分の一の保険料で参加できるのなら、同じ元手で四倍の額を投入できる計算になる。

・    六月初めには、トリプルBのサブプライム・モーゲージ債の指数は、六十台後半の終わり値を付けていた。つまり、元値に比べて三〇パーセント以上、価値を減じたということだ。となると、トリプルBのサブプライム債から創られたCDOの値も急落すると考えるのが道理だろう。オレンジが腐っていれば、そのオレンジを搾った果汁も腐っているはずだ。 なのに、そうはならなかった。

・    世間では専門的知識の持ち主だと評される人間たちが、じつはメディアのご機嫌取りに時間を費やす人間たちであるという現状に、バーリは憤慨していた。マネー・マネジヤーほど客観的な職業はないはずなのに、その業界内ですら、事実と論理が、あやしげな社交的手腕に凌駕されてしまう。

・    金融危機の原因について、グッドフレンドは「単純だよ。両方の強欲さだ。投資家の強欲と銀行家の強欲」と言った。わたしは、もっと複雑なものだと考えていた。ウォール街では、強欲は前提条件であって、見かたによっては義務に近い。問題は、強欲への流れを創る報奨のシステムだろう。

・    賢い決断を下す必要がないとしたら、つまり、お粗末な決断を下しても金持ちになれるとしたら、どれくらいの数の人間が賢い決断を下そうとするだろうか?

特に最後の一説は、サブプライムショックで、ウォール街の強欲達がほとんど損をしていない事への痛切な皮肉です。リスクを他者に押しつけ、リターンが出たら自分のものにする手法は、批判されるべきものですが、ひとつの投資案件としては合理的で、やるせない気持ちになります。

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