誰もが嘘をついている~其の四

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

以前紹介した「誰もが嘘をついている~ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性~」、今回は、投資に関するビッグデータの話題を本書からいくつか紹介します。

結論から言うと、投資の世界ではビッグデータはそれほど優秀な成績を収めていないと著者は言います。

理由は変数が多すぎて、偽りの変数を有効としてしまうからです。
(本書では「次元の呪い」という言葉を使っています)

また興味深いトピックに企業がビッグデータを使い、顧客から限界まで搾り取るための仕組みを徹底して取り入れているという話があります。

企業としては当然の行動ですが、消費者としては釈然としない部分もあり、考えさせられます。

他にもどういった言葉を使う人間が借金をしても返済し、返済しないのかなど金融ネタとして引き込まれるネタがあり、最後まで楽しく読めました。

今年のベスト3に入る良い本でした。

以下抜粋

既存の研究の成果が乏しい分野では新たなデータが一大飛躍をもたらしやすいと述べた。だが、人種差別主義、児童虐待、そして中絶についての洞察を得ることに比べて、企業業績をいち早く察知して儲けることは、残念ながらはるかに難しい。
なぜなら企業業績のかすかな変動を探るために既に膨大な資源が投入されているからだ。金融分野における競争は激烈である。それだけでも逆風だ。

最近の研究では、IQに関わる遺伝子変異についての 12 の有名な科学的発表を、1万人ものデータをもとに検証した。
その結果、 12 の先行研究が報告した相関性のどれ一つとして再現できなかった。
これらの主張はどこがいけないのか? 次元の呪いである。いまや科学界でははっきりしていることだが、人間のゲノムには数百万通りもの違いがある。ごく単純に言えば、数が多すぎて試験しきれないのだ

どうすれば次元の呪いを解けるのか?
まず自分の研究に謙虚になり、その結果に入れ込まないことだ。初期結果が出たら追試しなければならない。虎の子の運用をコイン391番に託す前に、今後数年間にそれがどれくらい正確に証券市況を予言できるのかを試してみるのだ。
社会科学者はこれを「アウト・オブ・サンプル」テストと呼ぶ。そして試験する変数が多いほど、より謙虚になる必要がある。
変数が多いほど、「アウト・オブ・サンプル」テストは困難になるはずだ。さらに、すべての試験の結果をきっちり記録し続けることも必要だ。そうすれば、いかに次元の呪いにかかりやすいか、実験結果にいかに懐疑的であるべきかが、身に沁みてわかるはずだ。

解決法は必ずしもビッグデータではないのだ。ビッグデータを最大限に活用するには、えてして隠し味が必要である。すなわち人間的な判断力と、いわばスモールデータとも言うべき小規模なサーベイだ。

研究の結果、借金希望者の言葉遣いが、返済率の強力な予言因子になることがわかった。しかもそれは、融資判断の関連情報、たとえば信用レーティングや収入などと比較してもなお重要な因子だった
中略
借金を返しそうな人間の言葉遣いについてだ。
「低利率」とか「税引き後」などは借り手側の一定の金融知識を示しており、従って彼らの返済率が高いことはおそらく驚くにはあたらないだろう。さらに「学卒者」とか「負債なし」のように、何らかの良き実績をアピールする人も借金を返しやすい。
一方、「お金はお返しすると約束します、神よどうかお助け下さい」と書く人は、最も返済可能性が低い人物だ。人の慈悲心に訴えること――親類が「病院」に入っているので金が必要なのだという人――は、借りたカネは返せないと言っているようなものだ。
中略
この研究によれば、支払計画を詳細に示し、かつて果たしてきた約束を列挙する人々は、総じて借金を返しやすい。金を返すと約束し情に訴えようとする人々は、借金を踏み倒す明らかな徴候を示している。
理由はどうあれ、あるいは約束をする人間は実際には約束を破ること必定という人間の本性についてこの研究が何を意味しているのであれ、債務不履行を予見する非常に貴重な知見が得られたと研究者らは考えている。
「神」に言及した人は2・2倍も借金を踏み倒しやすいのだ。「神」は債務不履行者を何よりあぶりだす単語の一つだった。

ギャンブルも絞り込みが顧客を危険に晒しかねない分野の一つだ。大手カジノ企業は、分身検索に似た技術を用いて顧客への理解を深めようとしている。
目標は、顧客からできるだけ多くを搾り取ることだ。彼らのポケットから自分たちの金庫へと、できる限り多くの金を移したいのだ。
中略
カジノ側は、どんなギャンブラーにも「痛点」があると考えている。それ以上の損をすると懲りて、かなりの期間、カジノから足が遠のく損失金額だ。
中略
カジノの経営者なら、ヘレンがスロットマシンに座ったときにどうしたいか? できるだけ彼女の「痛点」近くまで、しかしそれを超えない程度に、金を搾り取りたいはずだ。彼女に2999ドルの損をさせ、カジノは十分に稼ぎ、しかしヘレンにとってはギャンブルから足を洗うほどの損失ではないのが理想である。

ネット上のデータは、企業にどの顧客は避けるべきでどの顧客なら搾取できるのかを教えている。一方、消費者にもどの企業を避けるべきか、またどの企業が搾取的なのかを教えている。
今のところビッグデータは消費者と企業の戦いにおいて、いずれの側にも味方をしている。

数学者であるエレンバーグは、いったい何人が実際に書籍を読み通すのかに興味を持った。そしてビッグデータを活用してそれを調べる妙手を考案した。アマゾンのレビュー欄では、人々は書籍中の文章をさまざまに引用している。エレンバーグは、書籍の前半の記述の引用回数と後半のそれとを比較することを思いついた
中略
この方法によれば、ドナ・タートの小説『ゴールドフィンチ』は、 90%以上の読者が読了していた。
対照的に、ノーベル経済学賞を受けたダニエル・カーネマンの傑作『ファスト&スロー』は、およそ7%しか読了していなかった。
この大雑把な測定方法によると、経済学者トマ・ピケティの『 21 世紀の資本』に至っては、世評の高さとは裏腹に、3%足らずだった。要するに、人々は経済学者が書いた本は読了しない傾向が強いのだ。

抜粋ここまで

誰もが嘘をついている~其の参

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

以前紹介した「誰もが嘘をついている~ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性~」、今回は、人生のイベントに関わるトピックを本書からいくつか紹介します。

私たちの好き嫌いが、ある年齢だったときの出来事に大きく影響を受ける話
生まれた国や地域によって、成功できる可能性や寿命が大きく違う話

など話題が尽きません。

個人的に考えさせられたのは、希望大学を落ちた場合でも、人生はそれほど変わらないが、当事者はそれを過大に評価するという分析でした。
1点差で希望校に落ちた人と、1点差で合格した人の人生は所得においてほとんど違いないと本書では説きます。
あの時、あの試験に受かっていれば、ああしていればと言う後悔は誰もがあるものですが、そこまでに至る姿勢その後の姿勢がぶれなければ良いのだと教えてくれました。

夏休みもそろそろ終わりですが、夏休みに是非読んでほしい一冊です。

以下抜粋

研究者らが発見したのは、政治的意見もスポーツ・チームの贔屓も、それが決まる過程はさほど変わらないことだった。人間には生涯の刷り込みになる重要な時期があるのだ。多くの米国人は 14 歳から 24 歳という重要な時期に、そのときの大統領の人気に従って意見を形成する。その頃に人気のある共和党大統領あるいは不人気な民主党大統領を戴くと、感受性の強い彼らは共和党員になる。その逆も同じ。
そしてこうした重要期に育まれた見解は、総じて生涯続く。

所得分布で下位 20%に属する両親のもとに生まれた子供が上位 20%入りする可能性を整理したものである。
貧しい家庭に生まれ育った人が豊かになる可能性 米国 7・5% 英国 9・0% デンマーク 1・7% カナダ  13・5%  見ての通り、米国のスコアは振るわない。
中略
米国は「機会の国」なのだろうか?  答えは、イエスでもノーでもない。地域によってイエスでありノーでもある、だ。
チェッティらは記している。「米国はさまざまな社会の集合体と表現するほうが正確である。一部の社会は『機会の地』であり、世代間の社会的流動性が高い。だが別の社会では貧困を脱出できる子供たちはないに等しい」

人は死は平等と考えたがる。何しろ誰もそれを逃れることはできない。王様も物乞いも同じ。ホームレスの男もマーク・ザッカーバーグも同じだ。誰もがいつか死ぬ。
だが富裕層でも死は免れないにしても、データはいまや、彼らならそれを遅らせられることを示している。今日の所得上位1%の米国人女性は所得下位1%の米国人女性よりも平均して 10 年寿命が長い。そして男性の場合、このギャップは 15 年である。
中略
興味深いことに、最も豊かな米国人にとっては、居住地は期待余命にほとんど影響していない。十分な金を持っていれば、女性でざっと 89 年、男性なら 87 年間は生きられる見込みがある。
貧しい人にとっては話は別だ。最底辺の米国人にとって、期待余命は居住地によって大きく違う。実際、貧困層にとっては正しい地域に住むことは寿命を5年延ばす効果があるのだ。

今日のフェイスブックでは、1日当たり1000件のA/Bテストを行っている。フェイスブックの少人数の技術者が毎日、製薬業界が1年に行うより多くの無作為抽出比較対照試験を手掛けている。
中略
A/Bテストが重要であることの根本的な理由は、人の行動は予測不能であるということだ。私たちの直感は、往々にして人々の反応を読み違える。

スーパーボウルでの広告は効果があるのかどうか、もしあるのならどの程度かを分析した。特に注目したのは、映画の広告が放映されたときに、視聴者が増えた地域で興行成績が大きく伸びたかどうかだった。  結果はまさにその通りだった。
中略
しかし効果の程度となれば話は別。分析結果を見た私たちは、何度も何度も確認を繰り返した。違いがあまりにも著しかったからだ。分析対象になった映画は平均してスーパーボウルの広告枠に300万ドルを投じていた。その投資は、830万ドルの売り上げ増加になって返ってきた。投資収益率280%である

エコノミストは宝くじの偶発性を利用して、急にリッチになった人々のご近所さんの暮らしがどうなったかも観察している。データは、ご近所さんが宝くじに当たるとあなたの暮らしも変わることを示している。
あなたもBMWのような高価な自動車を買うようになりがちなのだ。

出身校のランキングと将来の収入には、またもや明確な相関関係がある。職業生活に入った 10 年後、ハーバード卒業生の平均年収は 12 万3000ドル、ペンシルベニア州立大学では8万7800ドルである。
だがこの相関関係は、因果関係を意味しているわけではない
中略
2つの集団――いずれもハーバードに合格したが片やペンシルベニア州立大学を選んだ――のその後はどうなったか?
結論はスタイベサント高校の研究に負けず劣らず衝撃的だった。両集団とも、職業生活を通じておおむね同じ収入を得ていたのだ。
将来の収入を基準とするなら、同様な一流大学に合格しながら別の学校に入学した学生たちは、結局同じ職場に行きついていたのである。

抜粋ここまで

誰もが嘘をついている~其の弐

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

前回紹介した「誰もが嘘をついている~ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性~」、今回は、インターネット上での私たちの行動がどれだけバイアスがかかっているかについてのお話をいくつか紹介します。

相場の世界ではブログやツイッターで投資成績や投資手法の開示が著しいですが、その開示に対してウラを取れることはほとんどありません。

はっきり言ってしまえば言ったもん勝ちの世界になりやすいということです。
毎回勝っていると吹聴する投資家、手法があるわりに、何故か複利の効果がつかないケースが多々散見されます。みんな億るどころか兆っていてもおかしくないはずなのに・・・

そんなインターネット上の自分を嵩上げてしまった私たちの本当の性質、実は成功していない、むしろ困っている、社会的に軽蔑されるような思想持っていることをインターネットの世界では、むしろ積極的に自白してくれている場所があると、本書では説きます。

私自身が性悪なので、この部分は読んでいてとても面白かったです。
都合の良いように他人どころか自分をも、人は偽ってしまう、これは知っておきたい性質でした。

以下抜粋

ポルノサイトやグーグルの検索データは、単に新しいだけではない。正直でもある。
デジタル以前の時代、人々はきまりの悪い考えは他人に漏らさなかった。それはデジタル時代になっても変わらないが、インターネット上とりわけグーグルやポーンハブのように匿名性が守られるところではさにあらず。これらのサイトはいわばデジタル自白薬のようなもので、従って広範な近親相姦への憧れを知ることができる。
ビッグデータのおかげで、欲望と行動の言行不一致がとうとう明らかになった。ビッグデータの第2の力は、正直なデータをもたらしてくれることだ。

2番目の教訓は、予想をするときに自分のモデルがどうして有効なのかを気にしすぎる必要はないことだ。セダーは左心室の大きさがなぜ勝ち馬を見抜くうえでそんなに大切なのか、完全には説明できなかった。脾臓の価値も正確にはわからない。きっといつの日か馬の心臓外科医や血液学者がこうした謎を解明するのだろう。
だが今のところ、そんなことはどうでもいい。セダーの仕事は予想であって説明ではない。そして予想を仕事とするなら勘所は予想のためには何が有効なのかであり、それはなぜなのかではない

多くの報道機関を対象に初めて政治的偏向度を調べられるようになった今、おそらく最も重要な問い―「なぜ新聞社は右寄りになったり左寄りになったりするのか?」――にもこたえられるだろう。
2人はすぐにある重要要因に的を絞った。地域の政治的土壌である。フィラデルフィアやデトロイトのように総じてリベラルな地域のメディアはリベラルに傾きがちだ。ビリングスやテキサス州アマリロのような保守的な土地柄だと主要紙も保守的になる。要するに、新聞とは読者が求めているものを提供するものであるということを、証拠は明確に裏付けていた
中略
この研究は、私たちの根深いマスコミ観を覆すものだ。
多くの人々、特にマルクス主義者は、米国のジャーナリズムは、金持ちや企業が支配しており、それは大衆に影響を及ぼすため、それもおそらくは彼らの政治的視点に同調させるためと見てきた。
だがジェンツコウとシャピロの共同研究では、これは報道機関オーナーの意向が勝ってのことではないことが明かされた。米国マスコミのオーナーたちは、自分たちがよりリッチになるためにお膝元の人々に彼らが求めるものを与えているのだ。

ある種のオンライン情報源は、人々に他では決して漏らさないような本音を吐かせている。いわばデジタル自白薬だ。グーグル検索がよい例だ。オンラインであること、一人であること、調査員が介在しないことなど、人がより正直になる条件を兼ね備えている

(テロへの恐怖に対して)オバマはすべての正しいことを話し、あらゆる主流派マスコミはその癒しの言葉を讃えた。
だがデジタル自白剤が生むインターネット上の新たなデータは、彼の演説はその主目的に対して逆効果だったことを示唆していた。怒れる群衆をなだめたどころか(人々はオバマがそうしたと思っていた)、むしろ彼らを燃え上がらせていたのだ――それがデータの示唆するところだ。
効果的と思われていたものは、実はむしろ逆効果だった。

親は「私の娘は才能がある?」より「私の息子は才能がある?」のほうを2・5倍も頻繁に検索している。親たちは公言するのが憚られるような知性に関する他の文章検索――たとえば「ウチの子は天才?」――をめぐっても同じく性別の偏りを示している

ソーシャルメディア(SNS)上では、サーベイと同じく、真実を述べるインセンティブが働かない。むしろサーベイと同じく、見栄を張ることに大きなインセンティブが働くのだ。何しろSNSのユーザーは匿名ではない。フォロワーを招待し、友人、家族、同僚、知り合い、そして赤の他人に対して、自分はこんな人間だと言うのだから。

フェイスブックはデジタル自白剤ではなく、「自分はこんなにいい暮らしをしていると友人にデジタル自慢させる薬」なのだ。フェイスブック上では、平均的なユーザーは幸せな結婚生活を送り、カリブ海に休暇旅行に出かけ、『アトランティック』の記事を追いかけている。
現実には多くの人々はいらいらとスーパーのレジ前に並びながら『ナショナル・インクワイアラー』を横目で立ち読みしつつ、もう何年も一緒に寝ていない伴侶からの電話を無視している。フェイスブック上では、家族生活は完璧に見える。
現実には悲惨なもので、そのあまり子供を持ったことを後悔する人もいるくらいだ。フェイスブック上では、あたかもすべてのヤングアダルトが週末にはいかしたパーティーで楽しんでいるかのようだ。
実際には彼らの多くは自宅に引きこもり、ネットフリックスばかり見ている。フェイスブック上では、彼女は彼氏との息抜き旅行での 26 枚の幸せな写真を投稿する。現実には、この写真を投稿するや否や、彼女は「彼氏がセックスしてくれない」とググる。そして彼氏はおそらくそのとき「グレート・ボディ、グレート・セックス、グレート・ブロウジョブ」を見ているののだ。

抜粋ここまで

誰もが嘘をついている~ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性~

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

ここ最近読んだ本で群を抜いて面白かったのが「誰もが嘘をついている~ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性~」です。

よく言われる相場格言「節分天井」が実はデータを取ってみると全く当てはまらなかったり、
暴落の予兆と言われる「ヒンデンブルクオーメン」がここ最近全く予兆になっていなかったりと

相場で定説と言われるものには、実際検証してみると役に立たないものが多々あります。

本書では、相場に限らず、我々が定説であり、当たり前だと思っているものが実は全く当てはまらなかったと言うだけでなく

ビックデータから、我々がネットの世界で発信する情報ですら、本人が気づかないまま全く当てにならない事を教えてくれます。

他にも色々と面白い話がたくさんなので何回かに分けて紹介していきたいと思います。

選挙中の検索データから当選者が事前に予想できたり、うつ病を簡単に治す方法、成功するために必要とされる要素が実は全く当てはまらなかったなど、興味深いエピソードがてんこ盛りです

以下備忘録
2016年にトランプとヒラリー・クリントンが戦った際には、
「トランプ クリントン 世論調査」と検索した人々もいた。
また「クリントン トランプ 公開討論」で論戦の見せ場を探した人もいた。
実際、「トランプ」検索の 12%は「クリントン」という検索語と複合検索されていた。同じく「クリントン」検索の4分の1以上も「トランプ」という語を含んでいた。  私たちは、見たところ中立的なこの検索が、ある人物がどちらの候補に投票しようとしているかを探る手がかりになることを発見した。
どのようにか? 候補名の入力順だ。我々の研究によれば、両候補を含む検索においては、支持候補の名前を先に入力することのほうがはるかに多い。
過去3度の大統領選では、検索語として先に入力された候補が当選している。さらに面白いのは、この入力順は、個々の州の投票動向の良い先行指標になることだ。

エコノミストをはじめとする社会科学者は常に新たなデータ源を探し求めているから、ここで大風呂敷を広げさせてもらおう。私はグーグル検索こそ、人間心理についてこれまで収集された最も重要なデータセットだと確信している。

不安が最も募っているのは、むやみに教育程度が高い大都市だろうと思うかもしれない。
大都会では神経症になりがちだというのはステレオタイプである。
だが不安に関するグーグル検索――「不安 症状」とか「不安 助けて」など――はえてして、教育程度が低く、収入のメジアン(中央値)が低く、農村人口比率が高い地域で多い傾向がある( 15)。たとえばニューヨーク市よりも、州北部の農村地帯のほうが不安をめぐる検索率が高い

私はある地域における鬱についてのグーグル検索データと、さまざまな要因(経済状態、教育水準、教会参加率など)との相関性を調べた。
冬の気候の影響力は他の要因を圧倒していた(3)。冬の間、ハワイのホノルルのような暖かい都市では、鬱についての検索がイリノイ州シカゴのような寒い都市よりも 40%も少なかったのだ。
これは大きな影響だ。抗鬱剤の有効性研究によると、楽観的な研究においてさえ、最も有効性の高い薬剤でも鬱を 20%低減できるに過ぎないとしている。グーグルのデータによれば、シカゴからホノルルに引っ越すだけで、投薬治療の少なくとも倍も冬季の鬱の対策になる。

最近、データサイエンティストのチームが、人類が集めた最大のデータセットであるフェイスブック上の人間関係を解析した。
ある時点で「交際中」の関係にあった膨大な数のカップルを調べると、一部はその後も「交際中」を保っていたが、交際ステータスを「独身」に戻した人たちもいた。そして研究の結論は、共通の友人を持つことは関係が長続きしないことの強力な予兆になることだった。
おそらくパートナーや同じ少人数の人々と夜ごとつるむことは、あまり良いことではないのだろう。それぞれが別の社交集団を持つほうが関係を長続きさせるのだ。

私が検証した疑問は「貧困家庭と中流家庭のどちらで育ったほうがNBAで成功しやすいのか」だった。  たいていの人は前者だと思うだろう。 10 代のシングルマザーの元で育つという苦労が、この競争の激しいスポーツで抜きんでるために必要な根性を養う役に立つというのは、一般通念になっている。
中略
わかったのは、豊かな地域に生まれたほうがNBA入りするチャンスがはるかに高いというものだった。たとえば最富裕地域に生まれた黒人の子供は、最貧地域に生まれた黒人の子供よりも、2倍もNBA入りする可能性が高い。白人の子供の場合、最富裕地域の子は最貧地域の子より1・6倍有利だ。
郡別生誕地、トップ選手の母親の婚姻状況、そして選手たちの名前だ。どの情報源も完璧ではない。だがいずれとも、同じ物語を裏付けている。社会経済学的背景が良いほど、NBA選手として成功しやすいのだ。つまり一般通念は偽である。
中略
データは、中流家庭の両親に感謝を捧げるジョーダンがまさに正しいことを示唆している。貧しい地域のひどい家庭には、NBA級の才能を持ちながらNBA入りできない者がいることも明かしている。こうした男たちは才能も野心も持っているが、決してスーパースターになれる気質を育むことはない。

「有名人になる」ということ 其の弐

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

前回紹介した勝間和代氏の「「有名人になる」ということ」の続きです。

投資家としてファンがついている方も多いと思うので、その関係性についての記述や必ず湧いてくるアンチについての考察など参考になりました

以下備忘録

ファンには三段階あるように感じます。
ファン第1段階(ファン度低) その人が供給するサービス・コンテンツが好き
ファン第2段階(ファン度中) その人が供給するサービス・コンテンツに現れるその人の才能が好き
ファン第3段階(ファン度高) その人のすべてが人として好き、応援したい
おそらく、ファンクラブの会員さんは第3段階でしょう。なぜその人を応援するかというと、自分が持っていないけれどもほしいものを満たしてくれて、それで幸福感が増すからだと思います。
さらにそのほしいものも、次の2種類に分かれると思います。
その1  自分がそのカケラを持っているので、その人を参考にすれば、自己実現の手助けをしてもらえそうなもの
その2  どんなにひっくり返っても手に入らないので、代わりにその人に自己実現してもらうもの

 

マーケティングの世界では、「アドボカシーマーケティング」という言葉が注目されています。
顧客との関係性を重要視して、よいことも悪いことも包み隠しなく相手に伝えることによって、信頼性を高め、たとえ短期的には商売にはつながらなくとも、長期的には相手の信頼を勝ち取って、顧客にとっての価値を高め、結果として企業のリピーターとしてつなげていくという発想です。
日本では『ザッポス伝説』という本で語られていますが、オンラインで靴を販売するザッポスというショップは、顧客の好みに合わせて同業他社の商品を紹介したり、あるいは間違えてピザの発注が来てもそれを取り次いだりするような、これまでにない手法で大きく成長しました

アンチファンについては、存在するのだということを認識すること、
そして、アンチファンを発生させてしまうような不用意な言動は、学習しながら可能な限り避けていくこと、さらには、こちらを見ると不愉快になるような人たちの前に、むやみやたらに露出しないこと、そういったことしかできないと思うようになりました。
また、逆に、わたし自身、いろいろな人にちょっとした印象だけでレッテルを貼ったり、きらーーーいと思うようなことが、どれだけ危険で、相手を傷つけることなのか、逆の立場になってはじめて身にしみてわかりましたので、そういう気持ちになることを戒めるようにもなりました。そうすることによって、相手のことがよくわかり、すると、その人のいいところもよくわかり、人の輪がいっそうひろがっていったように思います。

のちに、『競争優位で勝つ統計学』(ジェフリー・マー著)という本を読んだとき、目からウロコが落ちました。目が覚めたと言ってもいいかもしれません。
「結果を重視してはいけない。 確率的に高い割合で勝算があるものにチャレンジし続けているかどうかを重視せよ。 正しい意志決定をしている場合には、 短期的に結果がともなわなくとも、中長期的には必ず勝つのだから」
その文章で、自分が何を失敗したかを明確に悟りました。

「特定のセグメントの人に知られている」
ということと
「不特定多数の人が知っている」
ということ
そこには、大きな大きな隔たりがありました。
特定のセグメントの人が相手を知っているときには、比較的好意的です。
仲間として興味があり、その人の活動に興味があるからこそ知っているからです。だから、応援して、自分たちで育ててあげよう、という気持ちにもなります。
ところが、不特定多数の人が知っている場合は、必ずしもそうではありません。
自分はあまり興味のないセグメントの人を、マスメディアのような限られた情報から知るわけですから、好きになりようがないわけです。しかも、見たくもないのにテレビをつければしょっちゅう目にする、となれば、不快にすらなるでしょう
いちばん多い時期で、前述したとおり、新聞三紙、雑誌五誌、テレビレギュラー四本を同時に行っていました。
これも、どこまでできるかやってみたかったからでもあります。場を与えてもらったことには、ほんとうに感謝しています。
ただ、その結果、わかったことは、
・とりあえず、毎日、何か締め切りが来て、精神的に落ち着かない
・ひたすらアウトプットの繰り返しなので、新しいことにチャレンジできない
ということでした。しかも、これほど忙しいのに、いまひとつ顧客の幅はひろがらない。
理由は簡単でした。すなわち、いつも同じ人が読んだり見たりしているところに、毎週出続けていても、最初の数週間、あるいは数ヵ月を超えると新鮮味がなくなり、一定の興味を持ってくれる人は早々にファンになってくれて、そうでない人はそのまま、ということで、いわゆる経済学でいう   「限界効用逓減の法則」   がはじまってしまうのです。

連載やレギュラーは、スケジュールも埋まるし、定期収入も入るし、多くの人に触れられるし、とても大きなメリットがあります。しかし、「有名人ビジネス」という観点から考えると、リスクも大きく、かつ、コントロールもききません。

わたしの好きな言葉に、「信賞必罰」というものがあります。
すなわち、がんばったらがんばった分だけ結果がついてくるし、失敗したらそれにともなって評価が下がる、という単純なしくみです。
最終顧客との間に第三者が介在してしまうと、この単純なしくみがなかなかうまく働きません。
最適な努力をしても結果がともなわないと、「学習性無気力」、つまり、やってもしかたがないということを無意識のうちに学んでしまいます。それは、たいへんたいへん危険なことです

有名な人ほど、謙虚すぎるくらい謙虚に振る舞う、というのは「いろはのい」としても、
わたしが初期のころに受けたアドバイスとして、
「金銭的な利益を独り占めせず、なるべく多くの人と分け合うこと」
ということがありました。
平たく言うと、業績連動型の収入を自分だけで独り占めして、他の人たちが給料型で働くと、必ず歪みや不公平感が生じる、というのです。だからこそ、たとえばスタッフであっても、実績に応じたボーナスを気前よく払ったり、場合によっては印税シェアリングモデルにしたりするのです

「有名人になる」ということ 其の壱

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

最近読んだ本で考えさせられた一冊に「「有名人になる」ということ」があります。
著者はカツマーを大量に生み出し一世を風靡した勝間和代氏。
彼女がなぜ有名になろうと思ったのか、有名になった結果どんなメリットがあり、デメリットがあったのかを詳細にあけすけに教えてくれる一冊です。

この本を読むことで、有名になるとどういったメリットデメリットがあるのか?がわかります。

最近では投資家の本がベストセラーになったり、投資家のツイッターやインスタで何万人ものフォロワーを得るケースもまま見られます。

もしそういった立場になったらどんなことが起こるのか?
そもそも、有名になるとして、投資家として有名になった方が良いのか?

その当りを考えるきっかけをくれるオススメの一冊です。
なお、結論として、私は投資家として有名にはなりたくないです(爆)

以下備忘録

さまざまなチャレンジはすべて「確率論」です。
すなわち、確率が低い勝負であっても、それを繰り返し繰り返し行っていけば、いつかは負け続ける確率が下がっていって、どこかで必ず勝てるのです。
たとえば、勝率五%の勝負を五〇回行って、全部の勝負に負ける確率はたったの七・七%です。
一〇〇回行うと、全部の勝負に負けるのはわずか〇・六%。すなわち、ほんのわずかでも可能性があることがあれば、負ける確率が高いのは百も承知でそれでも勝負を続けていくと、いつかは回数の勝負で勝てる

有名人になるということ
1  有名人になることの直接的な金銭メリットは思ったほどは大きくない。
プライバシーの侵害にちょうど見合うか、見合わないか程度
2  なんといっても大きいのは、人脈のひろがりによるチャンスのひろがり。
これを生かせないと、有名人になったメリットはほとんどない
3  大きなデメリットのひとつは、「衆人環視の中」で生きるということ
4  最大のデメリットは、見知らぬ人たちから批判され攻撃されることを「日常」と考えなければいけないこと
5  発言力がつき、やろうと思ったこと、考えたこと、目指すことができやすくなる。それは有名人であることが信用につながっているからである

わたしはNHK教育とBSジャパンでレギュラーを長い間もっていたのですが、この二つは視聴率が低いため、商業的にはほとんど効果はありませんでした
マスメディアであっても、視聴率が低ければ影響力はないということが、何年もやっていくうちにようやくわかりました
冷静にビジネスとして考えた場合、最終的に顧客につながらないところでいくらテレビに出ていたところで、有名になるわけではないため、周辺ビジネスにつながらないのです

有名人が言ったことについて批判をするということは、その有名人よりも自分のほうの見識が高いこと、あるいは、ああいう有名な人でもこのような勘違いをしているということを指摘できることになりますから、選択理論心理学でいう「力・支配」の欲求を満たせるのではないかと思うようになりました

有名人になる五つのステップ
ステップ1  自分の商品性を把握し、顧客やパートナー、競争相手を特定する
ステップ2  自分がターゲットとする市場について、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを行う
ステップ3  自分を売り込むためのサービスを開発し、そのサービスの提供プロセスを管理する
ステップ4  自分がつくったサービスを普及させるための適切なチャネルを見つける
ステップ5  自分のサービスに適切な価格をつけ、品質を保証する

市場が欲しているにもかかわらず、実際にはまだ提供されていない商品・サービスでないと、なかなかブレークしません
したがって有名人になるプロセスとして大事なことは、自分に「ありそうで、なかったものに対応する商品性がある」ということです

「非助成認知率」を高めるには、やはり、4マスといわれるマスメディア(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)に登場しなければなりません。
そこに登場するには、提供するサービスは汎用性の高いものでなければいけません。
しかし、汎用性が高すぎると今度はとんがらなくなる──ここの絶妙なバランスの商品を開発しなければならないことが、「有名」を目指す場合の悩ましい点

ここで言いたいのは、 チャネル開拓では「できることはすべて行う」という精神で、自分の労力でまかなえることであれば、なんでもやってみる、 ということなのです。
リスクはせいぜい「恥をかく」くらいのことであり、別に失うものはありませんので、できることをできる限り行って、淡々と売り込みを続ける、それだけです。
中略
もっとも重要なことは、羞恥心を捨てることです。ここまでやるか、ということまでやらないと、市場ではとんがれません。

有名であることで話をややこしくするのが、本人のオリジナルの価値に、その人が有名であるということで集まってくる情報や、顧客やビジネスパートナーの価値が大きく加わることです。
しかも、その上積み部分は本人の実力ではないのに、実力だという勘違いが、本人にもまわりにも生まれてしまいがちなこと

ストレスのもとで 多くの人が下すもっとも一般的な決定

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

昨日の大敗を反省し、魔術師が贈る55のメッセージを読み直していました。


耳が痛い記述が多々あったので、自戒を込めて転載

ストレスのもとで 多くの人が下すもっとも一般的な決定は、 “決定しない”ことです。
―バン・K・タープ  『マーケットの魔術師』

運が悪いというだけで、 大失敗することはまずない。 失敗には必ず理由がある。
―マーク・ワインスタイン 『マーケットの魔術師』

リハビリに成功した運動選手は、 自分の進歩だけを見ていました。
自分自身を比較していたのです。 自分は、先週からどのくらい、 先月からどれくらい、「進歩しただろう」と、 自分自身を比較していたのです。
―チャールズ・フォルクナー  『新マーケットの魔術師』

基本的に私の大やられは、「過度な自説への自身」が原因で、たいていは以前にそれで成功していたというのがあります。
毎回同じようなやられで、なかなか進歩していない気がします。

今年に入ってTOB狙いはそこそこ当たっていたので、それも今回のやられの一因でした。

成功が逆に失敗を招く。
よくある話ですが、常に気を付けたいものです。

平成の通信簿 106のデータでみる30年 其の参

こんにちは、ヘッタ・チャンです。
二回に分けて紹介した平成の通信簿 106のデータでみる30年 (文春新書)

備忘録其の参です。

今回は、終身雇用や増える派遣労働など日本の雇用についてや、増え続ける教育費や社会日保障といった家計問題、そして死生観といったものの30年の変遷と諸外国との差や一時期株価の大きなテーマだったインバウンドの実態について、メモをしたところを備忘録として、上げていきます。

ふりーパパさんが人材派遣会社でテンバガーを達成していますが、あれは日本の構造変化で起こった業界のパラダイムシフトで、企業の価値が大きく変わったところだったのだとよくわかりました。
マクロの変化が個別企業に業績に与える大きさがよくわかり、そちらも投資でも利益を得るヒントになりました。

以下備忘録

実際のところ、終身雇用といえるような働き方をしている人は、どのくらいいるのだろう。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に、企業規模別・業種別・性別の勤続年数のデータがあるので見てみよう。
定年間際の 55 ~ 59 歳での勤続年数は、もし終身雇用なのであれば、大卒者では約 35 年、高校ではもっと長いはずである。
しかし実際には、平均勤続年数が 30 年を超えているのは「製造業」の「大企業」の「男性」だけである。それ以外は、終身雇用とはいえない年数になっている。
では日本の労働者のうち、製造業の大企業の男性はどのくらいいるだろう。
統計によって数字に幅はあるが、この調査では8%程度にすぎない。いわゆる終身雇用というのは、非常に限られた人の間だけにしか、そもそも存在しなかった制度

それにもかかわらず、日本人の終身雇用・年功序列への憧れは根強い。
産業能率大学の「2018年度 新入社員の会社生活調査」では、新入社員で終身雇用を望む人の割合は 66・4%であった。
日本生産性本部の「新入社員 春の意識調査」の2016年度調査では、年功序列での昇格を望む人の割合が 42・3%と過去最高となった

1989年に約800万人であった非正規雇用者の数は、2018年は約2100万人と、約2・6倍になった。
いっぽう正規雇用者数は、約3400万人で、ほぼ横ばいである。つまり、非正規雇用の割合が大幅に増加している。
そもそも合法な契約を結んで規則的に働いているのに「非正規」とは穏やかでない。
正規・非正規という区分は、日本と韓国以外の統計ではあまり見られないものである。
問題の根本には、日本社会が共有している賃金思想はあくまで生活給であり、それが同一労働同一賃金や、雇用者被雇用者の対等な関係といった、近代的な労働法の思想と、原理的なレベルで矛盾するという構造がある。
雇う側も、雇われる側も、世間も、労働契約というタテマエにいちおう付き合ってはいるが、みなホンネを心得ている。
雇う側は、社員に全人格的な献身を要求する一方で、身分にふさわしい生活をどうにか維持できるだけの扶持を与える。
雇われる側は、労働の成果あるいは能力にもとづく対価といったものではなく、生活できる金額をもらわないと満足しない。
政府は、個人の生活保障を担うべき存在のはずだが、企業にそれをさせようとする。
その結果、単なる労働契約の一形態であるはずの正社員を、世間は身分とみなす。

日本の労働生産性は、他の先進国に比べて低い。
直近の順位は、OECD加盟 36 カ国中 20 位、主要先進7カ国の中では最下位である。
日本の労働者が1時間働いて得られるものは実質ベースで 47 ドル。
これが米国やドイツでは 70 ドルだから、生産性はこれらの国の3分の2しかないことになる。

生産性の低さの別の現れ方として、労働者のやる気の問題がある。
日本人の仕事に対するやる気は、ほぼ全ての調査で最低ランクである。
たとえば米国の世論調査会社であるギャラップが、世界各国の企業で実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意) 調査では、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかなく、調査した139カ国中132位であった。

数の少なくなった貴重な人材を、今の日本はどう育てているだろう。
教育費の公費負担額の対GDP比をみると、日本はOECD加盟国でデータの存在する 34 カ国中最下位、未加盟国を含む 40 カ国では 39 位である。
トップの中米のコスタリカは、建国当初から教育熱心な国として知られ、教育費にGDPの6%を使うことを憲法に明記している。

 

訪日外国人数の急増の理由は、日本の魅力が高まったからというよりは、世界的に観光客が増えたからというのが大きい。
経済成長でお金を手にしたアジア地域では、海外旅行がきわめて盛んになり、その手近な目的地のひとつとして日本が存在している。
世界全体の海外旅行者の数は、1990年は年間のべ4億人であったのが、2016年は 12 億人と、3倍に増加している。
日本は人気の旅行先のひとつではあるが、日本への旅行だけが人気になっているわけではない。
日本の社会保障の特徴として、所得の再分配が他国に比べて十分に機能していない点が指摘される。
どの国でも、豊かな人には累進課税を行って応分の負担を求め、それを貧しい人に還元するしくみがある。
しかし日本では、累進性のある所得税とは別に、所得が少ないほど負担率の大きい「逆進性」のある健康保険料や年金保険料の負担が重い。
そして所得税や法人税は、住宅ローン控除やふるさと納税や租税特別措置など、複雑にされながら累進性が骨抜きにされる一方で、社会保険料は年々高くなっている。

最新(2016年) の統計では、日本人の平均寿命は、女性は 87・1歳、男性は 81・0歳と、平成の間に約5年伸びた。
女性は世界第2位、男性は世界第4位となった。
1位ではなくなったが、世界で最も寿命の長い国のひとつであることは間違いない。
世界の平均寿命は、女性 74・3歳、男性 70・0歳であるから、日本は世界の平均よりも女性は約 13 年、男性は約 11 年長生き
日本の薬価は、海外に同種の医薬品がない場合、基本的には原価計算方式によって決定される。
その際、少ない販売数でも開発費を回収できるように価格が設定された。それがそのまま、患者数の多い非小細胞肺がんの薬として使われるようになったため、保険負担が膨大になり問題となった

効用ではなく原価にもとづいて価格を決める制度のもとでは、製薬会社が巨額の開発費を投じて高額な医薬品を作るインセンティブが過剰になる。
薬価基準算定にこうした問題があるのは日本だけではないので、世界中の製薬会社が世界中の医療保険財源をターゲットに、超高額な医薬品の開発競争を繰り広げているのが現状である。

1980年代以降、日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん) である。
この 30 年間で、がんによる死亡率は2倍近くになった。これはがんが増えたというよりも、がんになるまで長生きするようになったというのが正しい。

備忘録ここまで

薬価の開発が企業の時価総額に大きな影響を与える理由の一端が個人的には参考になりました。
平成という時代の株価の動き、令和でも活かしたいものです。

平成の通信簿 106のデータでみる30年 其の弐

こんにちは、ヘッタ・チャンです。
先日紹介した平成の通信簿 106のデータでみる30年 (文春新書)

備忘録其の弐です。

今回は世界の人口がどう変わりどう変わっていたかを中心に紹介します。
國の経済に影響を大きく与えるのは人口です。

ですが、それが個々人の幸せに直接リンクするわけではない分析は頷く部分がありました。
他日本の農業漁業が世界とどう違うのか、どう違っていたのか等の視点も気付きになりました。

以下備忘録

生産者にとっての国別GDPとは、世界におけるその国の市場の大きさ、マーケットとしての重要性を表す指標
中略
国の中で暮らす人にとって、国の規模が大きいかどうかは、必ずしも重要ではない。
歴史的にみても、小さくても豊かな国はたくさんある
一人あたりGDPランキングでは、むしろ小さな国のほうが有利であるようにすら見える
国別GDPは、経済の中で暮らす主体にとってはそれほど重要ではなく、経済を客体として見るときに重要なものといえるかもしれない

現在は世界の6人に1人が中国人だが、2050年には、世界の6人に1人がインド人となる。
ナイジェリアと米国は4億人を超える。バングラデシュでは、日本の北海道と東北を合わせたくらいの面積に、2億人の人口がひしめくことになる。
日本は世界で 16 位となり、アジアではフィリピンに抜かれる。

日本はいまも「経済大国」である。しかし、そのありかたは変わった。
昭和の日本は、国内で製造して国外に輸出する「ものづくり大国」であった。
平成の日本は、国外で投資して工場を作って、そこで製造して世界に輸出する、もしくは日本に輸入する「投資大国」になった。
モノを生産して海外に輸出してカネを得る国から、カネを海外で投資してカネを得て、それでモノを輸入する国に変わったのである。

現在、世界での家電のメーカー別シェアは、日本のそれとは全く異なる。
世界では、
冷蔵庫ではデザイン性の高い米国やスウェーデンのブランド、
薄型テレビでは高品質の韓国ブランド、
エアコンでは低価格の中国ブランドが人気である。
しかし日本では、依然として日本ブランドが好まれている。
現在の日本の家電市場は、いわゆるガラパゴス化が進んでいる市場のひとつであり、量販店の売り場からは世界の状況が見えにくい

農地面積は444万ヘクタールと、1990年の524万ヘクタールから 15%減少した。

大ざっぱに言うと、現在の農地面積は九州全部と山口県を合わせたぐらいであり、広島県ぐらいの農地がこの 30 年で耕作されなくなったことになる。
農業の国内生産額も1990年の 11・5兆円から9・2兆円まで減少した。
ただ、農業従事者数の減少に比べると、農地面積はそこまで減っていないし、生産額も持ちこたえているともいえる

日本の農家の約半数はコメ農家である。
米の年間一人あたり消費量は、1962年の118キロを境にずっと減少している。
1989年には 70 キロほどあったが、2016年は 54 キロと、ピーク時の半分以下となった。農家を守ろう、もっとお米を食べよう、という農林水産省の掛け声も空しく、この数字は低下してきた。

いっぽうこの間に、世界の農業生産は大きく進歩した。
1990年から2016年で、世界全体の農業生産額は名目額で2・8倍になった。中国9・4倍、インドネシア5・8倍、インド4・0倍、ナイジェリア6・4倍と、途上国での生産量は飛躍的に増加している。
この 30 年は、「世界の人口」で見たマルサスの推論とは逆に、農業生産の増加率が人口の増加率を上回った時代であったといえる。
先進国をみても、農業国である米国の農業生産額は2・0倍、オーストラリアは3・0倍に増加している。国の経済に占める農業のシェアの低いドイツやフランスやイギリスでも減少幅はわずかで、日本ほどの衰退傾向はみられない

現在の日本の漁業の状況を見てみよう。
魚の水揚量(漁獲量+養殖量) は、1989年の1191万トンから減少し続け、2016年には436万トンと約3分の1になった。
1988年には 40 万人近くいた漁師の人口は、2017年に 15 万人となった。
この数字ですら、実際には漁業で生計を立てていない人が多く含まれており、過剰推定であるといわれている。儲からないうえにきつい仕事であるとして、後継者不足が常態化している。

日本では低調な漁業だが、世界では全く状況が異なる。
この 30 年で、世界中の人が魚をたくさん食べるようになった。
世界の一人あたり水産物消費量の年間平均は、1980年代の 12 キロから、2010年代には 20 キロ以上へと急増した。
それに伴い、世界の魚の水揚高も約2倍に増加した。
といっても、天然魚の漁獲量はさほど増えておらず、2000年からはむしろ減少傾向にある。
圧倒的に増えたのは養殖魚である。世界全体の養殖量は、1989年の1650万トンから、2016年の1億1000万トンへと、約7倍に増加し、天然魚の漁獲量9200万トンを上回った。
獲ったもの勝ちの漁場では、長時間操業する者が有利である。
しかし全員が長時間操業すると、全員の漁獲量が減少し、全員の生産性が下がる。
いっぽう、漁獲量が厳格に定められている漁場では、経済価値の低い稚魚ではなく大きく育った魚を、いかに早く効率的に獲ってくるかという競争をする。

そうした漁場では、単位時間あたりの生産性を高める方向への技術革新が進む。その結果、ノルウェーなどでは漁業従事者の年収も非常に高いものとなっている。

 

2017年の世界の再生可能エネルギーの発電量は2152テラワット時、総発電量に占めるシェアは8%にまで増加し、完全にエネルギーミックスの一翼を担うようになった
(ここでの再生可能エネルギーとは、バイオマス・地熱・風力・太陽光などで、マイクロ水力以外の大規模水力発電は含まれていない。「その他火力」には、卸売等で電源を特定できないものが含まれる)
原子力発電の発電量は2635テラワット時で、こちらは増加が止まっているので、再生可能エネルギーの発電量は、もうすぐ原子力を上回るとみられる。
中略
太陽光も風力も、もとは太陽のエネルギーであり、資源量はほぼ無限といってよいものだ。
エネルギー資源の枯渇を心配する必要は、もはやなくなりつつある。
気の早い話をするなら、エネルギーは無料になりつつある。資源をめぐる悲惨な争いも減るだろう。
人間という貴重な資源に比べて、エネルギー資源が無視できるほど安価になる未来を、現実的に想像できる時代がすでに来ている。

備忘録ここまで

電気水道ガスや石油、太陽光パネルなどエネルギー会社やその周辺の株価が今後どうなっていくか、最後の紹介は考えさせられますね。

次回は、日本の雇用や家計といった部分についてのまとめを考えています。
気長にお待ちください

平成の通信簿 106のデータでみる30年 (文春新書)

こんにちは、ヘッタ・チャンです。

最近は新しい投資法を試していて、ブログを書く時間が全く取れませんでした。
ちょっと落ち着いたので、本の紹介をしてみようかと。

今日紹介するのは
平成の通信簿 106のデータでみる30年 (文春新書)

令和最初に買った一冊です。

平成という30年の間に、日本がどうなったのか?
データで同時期の世界各国と比較する良書

失われた30年は本当に失われたのか?
考えさせられた、気付きかされた部分をこれから一部紹介していきます~

以下抜粋

学校を出ると、基礎的なことは知っているふりをすることになっていて、ちゃんと向き合う機会は少ない
いまどきの教科書を開いてみると、鎌倉幕府ができたのは1192年ではなくなっているし、太陽系の惑星の数は1つ減っている

歴史や科学よりも移ろいやすい現代の社会のことはもっと変わっていて当然なのだけれど、頭の中にある世界像は十数年、あるいは何十年も前のままという人がほとんどだ

ECモール最大手の楽天の流通総額は年間3兆4000億円。
これは中国のアリババグループが 11 月 11 日の「独身の日」一日で売り上げる額である。
以下、ヤフーは1兆5000億円(ヤフオク9300億円・ヤフーショッピング6000億円)
日本で唯一の「ユニコーン企業」といわれたメルカリは3000億円
月旅行で話題になった前澤友作氏の率いるファッション通販のゾゾは2600億円である

シンガポールや香港のような都市国家は、一人あたりGDPのランキングではやはり有利になる。
ためしに東京都の一人あたりGDPを計算してみると、これは2015年の数字だが、約6万4000ドルとなった。
2015年のシンガポールの一人あたりGDPは約5万5000ドル、香港は約4万2000ドルであるから、これらを上回る

国際比較では、各国の物価水準から算出される購買力平価(PPP) と呼ばれる値にもとづいて換算した値を、実質GDPとして用いることが多い。
これでみると、日本は順調に成長しているように思われる。かつての日本は、名目GDPが高いわりに実質GDPが低い、つまり、見た目の所得のわりには物価が高くて暮らしにくい見栄っ張りな国だったのが、いまは背伸びをせずに豊かさを享受する普通の国になったということかもしれない。

日本のGDPは、1989年から2017年の間に1・6倍に増えている。
これだけを見ると、「失われた 30 年」とはいえ、なかなか増えているものだと思われるかもしれない。
しかし世界の中でみると、日本はこの 30 年間でもっとも成長しなかった国のひとつである。
世界全体のGDPは、この間に4・0倍になった。中国は 26・1倍、インドは8・7倍、韓国は6・3倍、米国は3・5倍。ヨーロッパの国々は世界平均よりも低いが、それでもドイツ3・0倍、フランス2・5倍、イタリア2・1倍となっている。日本のGDPの伸び率は、データの存在する139カ国中134位、下から数えて6番目である。

抜粋ここまで

どうしょう?なかなか興味深いデータだったのではないでしょうか?
このような低成長の国で経済全体の伸びに期待して株を買うのは不利だったことがよくわかります。

この本の紹介はもう少し続きますが、それはさておき、

私はメインがイベント投資という、経済の成長とは関係ない部分を糧とする投資法だったので10数年安定して利益を上げることが出来たと思っています。

なお、この利益に多大に貢献したイベント投資ですが。エンジュクの柳橋さんがイベント投資の大全的なDVDを発売されるとのこと。これは気になります

夕凪式イベント投資プロフェッショナル講座【柳橋流実践編】